いま問題になっている「大学ファンド」

 

いま問題になっている「大学ファンド」
10兆円の原資が元本割れしないかとか、長期的に運用益を得られるのかといったお金の話が語られがちなように見えるが(実際、昨年の運用で既に667億円の損失を出しているそうだから、投資としての実現性も重要だけれど)、もっと重要なのは、大学ファンドから資金提供を受ける「卓越大学(これもイヤな名称だが)」に、「合議体」を設置しなくてはならないという点ではないだろうか。
合議体のメンバーを決定するにあたっては、文科相の承認が必要になる。
とすると、政府に都合の悪い人物がメンバーに選任されなくなるだろう。
まさに、日本学術会議の任命拒否問題と同じことが起きる。結局、当時首相だった菅義偉氏は、逃げてごまかして、任命拒否の理由を説明せずに、うやむやにしている。
 
更に、卓越大学に課された「年3%の事業成長」という目標にも、非常に違和感を覚える。
なぜ、最近、政治や教育や学問の分野を語る際に、安っぽいビジネスマンが使うような用語が飛び交うのか。
政治家が、金儲けにしか興味を持たなくなったということか。その成れの果てが、パー券で堂々と裏金を作りまくった安倍派の議員たちであり、自分とお友達の懐を肥やすことに邁進し続けた安倍晋三その人だということだろうか。
 

このまま大学から自由や自律性が奪われたら、大学は、たんなる政府や企業の出先機関に成り下がり、社会的な存在価値を失う。
そうしたら、いよいよ、優秀な研究者や教育者や学生は、日本の大学で研究をしようとは思わないだろう。
 
そもそも、この大学ファンドなどという制度を推進している政治家は、学生時代に学問や研究にまともに取り組んだ経験や、卓越した学問の成果に触れて知的衝撃を受けたという経験をまったく持っていないのではないか。
日本の政府は、いったいどこまで日本を壊すのか。